ここではスーパーカブ・リトルカブなどのオイル交換の手順を解説しています。モンキーやジャズなど様々な車種に応用が可能です。
参考動画
一度講座を受けていただけた方であれば、それぞれの動画を見て、どのような作業がどのような手順で行われているのかが理解できるようになっているかと思います。
※動画の内容は講座の内容とは関係ありませんが参考になりそうなものを選んでみました。
※動画の内容は確認しておりますがすべて正しいとは限りません。様々な情報から取捨選択し、ご自身の環境にあったやりやすい方法で行いましょう。
作業前の準備
作業を開始する前にセンタースタンドを立てて車両を安定させましょう。
エンジンオイルを柔らかくするために軽く暖機運転を推奨している方もいますが当教室では火傷などの危険性から暖気は行わずに作業を行うことを推奨しています。
走行後など車両が温まった状態で作業を行う際はエンジンオイルがかなり高温になっている恐れがありますので十分に注意しましょう。また、もしそのような状態で作業される場合は軍手は外してから作業を行ってください。
用意するもの
ホンダウルトラG1(純正エンジンオイル) | Amazon | |
メガネレンチ17mm | Amazon (セットで購入するのがおすすめです。) |
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ドレンワッシャM12用 | Amazon | |
ウエス | Amazon | |
ポイパック(オイル処理箱)※ | Amazon | |
オイルジョッキ1ℓ用※ | Amazon | |
パーツクリーナー | Amazon | |
※あると便利なものです。必ず必要なわけではありません。 |
エンジンオイルには様々種類がありますがレースなどを行わないのであればホンダ純正のウルトラG1で十分です。むしろ、ウルトラG1はホンダ純正オイルの中でも最も油膜の厚いオイルですので焼き付きなどを起こしにくくレースなどを行わないのであれば素直にこちらを利用するのがおすすめです。
ドレンワッシャは毎回交換するのが理想ですが何度か再利用することもできます。ドレンボルトを取り外した際に手に取って潰れ具合を確認して判断しましょう。
オイル購入時にノズルが付属している場合はオイルジョッキが無くてもオイルを入れることが出来ます。ちなみにオイルジョッキには蓋つきのものと蓋無しのものありますが蓋つきの物の方が保管時に汚れが付着しにくくおすすめです。
要チェック7ポイント
- 最も多いミスがボルトを回す向きを間違えることです。力を加える前に回す方向が正しい向きかどうか確認しましょう。
- ドレンボルトを装着する際ははじめから工具で締め付けずに指である程度回し入れてから工具を使うようにしましょう。
- エンジンの暖気はしてもしなくても構いませんが講座では火傷などのリスクを考えて暖気は行わなわずに作業を行っています。
- レベルゲージを確認する際は車体をまっすぐにする必要がありますのでサイドスタンドは使わずにセンタースタンドを利用しましょう。
- レベルゲージでオイル量を確認する際はゲージは閉めこまずに差し込むだけで確認します。
- レベルゲージは規定値内であれば問題ありませんが講座ではオイル滲みやオイル上がりによる現象に備えるため規定値の上限いっぱいまで入れることを推奨しております。
- ドレンボルトは締め付けすぎるとクランクケースが割れる危険性があります。不安であればトルクレンチを使用しましょう。
モンキーレンチは使用しない
使用する工具は必ずメガネレンチを使用しましょう。メガネレンチはボルトにフィットしやすい特徴があり、力を入れてもボルトが舐めにくい工具です。
逆に初心者が最も多用し、最も失敗しやすい工具がモンキーレンチです。モンキーレンチは幅を調整できるため万能な印象がありますが、接触面も少なく、力を入れた作業を行うと非常に舐めやすい特徴があります。
モンキーレンチは初心者が最も利用し、プロが最も利用しない代表的な工具です。
交換頻度について
エンジンオイルの交換頻度ですがメーカーであるホンダ公式では1年もしくは3000kmごとの交換が推奨されています。1年にするか3000kmにするかですがどちらか早く来た方に合わせれば問題ありません。
ただ、忘れてしまって1万kmとか走ってしまうとエンジンに負担をかけてしまうことになりますので交換した際の走行距離をスマホでメーター距離の撮影をしたり、メーターの表示をメモしておくと安心です。撮影の場合は自動で撮影日が残りますがメモの場合は交換した日付もメモするようにしましょう。
1年や3000kmという基準はホンダが推奨する基準ですので、人によっては交換サイクルをもっと早めている方も多いと思います。早めに交換する分には問題ありませんのでカブを大切にする気持ちがあるのであれば1000kmや2000kmで交換してもよいと思います。
ボアアップしている場合は早めに交換すること
注意していただきたいのが、ボアアップしている場合です。ピストンやシリンダーを交換するなどのカスタムを行って、排気量を上げている車両の場合は交換サイクルを早める必要があります。
カスタムの度合いにもよりますが1500kmや2000kmの交換がおすすめです。
カブなどの小排気量の車両は高回転域で回していることが多く、エンジンに負担がかかりやすいためエンジンオイルの交換はさぼらず行うようにしましょう。
古いオイルを抜く
まずは古い汚れたオイルを抜く作業です。
エンジンの下にドレンボルトがありますのでメガネレンチをセットして画像の矢印の向きのように緩める方向に力を加えます。ボルトは上向きに取り付けられていますので回す向きを間違えないよう十分に注意しましょう。
仮に回す向きを間違えたまま思いっきり回してしまうとクランクケースが割れてしまう恐れがあります。クランクケースはアルミでできており、そこまで強度ががあるわけでありません
エンジンの下にはドレンボルトのほかにもう1本ボルトがあります。もし間違えてもう一方を開けてしまってもバネがびよ~んと飛び出してくるだけですので心配いりません。再度バネを入れて締めれば元通りです。
ボルトが緩んだら残りは手で回します。ボルトが外れる前にオイルパンなどオイルを受けるものを下に用意しておきましょう。
ボルトが抜けるとオイルが勢いよく排出されます。画像では交換してから走行しておりませんのでオイルは汚れていませんが実際は真っ黒なオイルが排出されることがほとんどです。
できればオイルの受け皿の中に茶こしなどをセットして置き、金属片などが混ざっていないか確認しておくと良いでしょう。
ドレンワッシャーの確認・交換
オイル交換のついでにドレンワッシャーの状態も確認しておきましょう。ドレンワッシャーはボルトとクランクケースの間に入ってオイル漏れを防ぐ役割があります。
本来はオイル交換のたびに交換することが推奨されていますが実際は何度か利用することが出来ます。目視で確認してあきらかにつぶれているようであれば交換するようにしましょう。
ドレンワッシャーはいくつかサイズがありますが「車種名+ドレンワッシャー」で検索すれば自分の車両に合ったサイズを知ることが出来ます。
ドレンワッシャーがつぶれているかわからない場合は手で引っ張って抜けるかどうか試してみましょう。簡単に抜けない場合はつぶれて伸びてしまっていますので交換の目安になります。
オイルが抜けきったらドレンボルトを取り付けます。この際、必ず手で回せるところまで回してから工具を使うようにしましょう。
慣れている方はメガネレンチで締めることが多いですがドレンボルトは締めすぎるとクランクケースが割れる恐れがあり、緩すぎると走行中にボルトが外れ、オイルがダダ洩れになる危険性がありますので力加減がわかるようになるまではトルクレンチを用いるのがおすすめです。
オイルを規定量入れる
オイルフィラーキャップの上にあるシールで必要なオイルの量を確認します。
全容量 0.8ℓ
オイル交換時 0.6ℓ
全容量のオイル量を入れるのはエンジンを分解した際などに利用します。今回の場合はオイル交換時ですので0.6ℓ入れる必要があります。
オイルジョッキにオイルを入れます。オイルの量は後々レベルゲージで確認しながら調整しますので大雑把で構いません。
おおよそ0.6ℓ入りました。フィラーキャップを外してオイルを入れていきたいと思います。
オイルの入れ方のコツ
オイルを入れる際にこぼさないようにするコツというのがあります。
ジョッキからオイルを入れる際はジョッキのホースの口と注ぎ口の間に少し隙間を開けるようにします。この部分を密着させてしまうと空気の逃げ道が無くなり、オイルがあふれ出てしまいます。
ある程度オイルを入れたらレベルゲージでオイルの量を確認しましょう。オイルレベルゲージでオイルの量を確認する際はキャップは締め込まず、奥まで差し込んで引き抜くだけで確認します。
レベルゲージの網掛け部分(画像赤印)の範囲にオイルが収まるように調整します。網掛けの範囲でもできる限り上限に近い位置に調整するようにしましょう。
特に車両の年式が古い場合などはオイル滲みやオイル上がりなどにより走行時にオイルがちょっとづつ減少することがあります。多少減少してもゲージの下限を割らないように上限付近まで入れておくようにするのがおすすめです。
オイルを入れ終わったらフィラーキャップを締め、エンジンをかけてみましょう。ほんの少しエンジンを回したら停止させ、再度フィラーキャップでオイルの量を確認します。
古いオイルを抜いた時にキックペダルをキックしたり、車両を傾けたりした場合はオイルが抜けすぎていることがあります。この場合はエンジンをかけてヘッドやシリンダーにオイルが循環した際に規定量より少なくなってしまう場合があります。この場合は再度レベルゲージを確認して足りない分は足すようにしましょう。
ドレンボルトからオイルが垂れると後輪にオイルが付着し、事故につながる恐れがありますので、全ての作業が完了したら最後にドレンボルトの周りをパーツクリーナーで綺麗にしておきましょう。