整備教室セビスクでは"趣味ではじめる二輪整備"をコンセプトにバイク整備が初めての方から上級者まで楽しめる講座を開催しています。

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工具の正しい使い方・ポイント

はじめに

整備教室でお教えする作業内容はあくまでも講師の経験などに基づいた内容となっており、全て正しいものではない可能性があります。

同じ整備でも手順はショップごとに違っていたりするものです。ご自身で様々な情報を取捨選択していただきご自身なりに信用できる方法を模索いただければと思います。

ラチェット

ラチェットには切り替えレバーというものが付いており、この切り替えレバーを操作することでボルトを緩める方に力を加えるのか締める方に力を加えるのか選択することが出来ます。

ボルトは必ず手で締まるところまで締めてから工具を使う

ラチェットを利用する際は必ず先に手で締まるところまで締めてからラチェットを利用するようにします。そうでないとボルトが斜めに入っているのに気が付かずに締めてしまったりし、ボルトを痛めてしまう恐れがあります。

強い力をかける部分にラチェットは危険!メガネレンチとの使い分け

ラチェットは内部にギアが入っており、強い力をかけるとギアが欠けてしまう恐れがあります。強い力をかけるような作業を行う場合にはメガネレンチを利用するようにしましょう。

先端にソケットの付いた工具

画像にあるのはTレンチと呼ばれる工具でT字の持ち手の先にソケットが付いています。

まずは良い例です。ソケットが六角にまっすぐに刺さっています。

続いてよくある悪い例です。ソケットが六角に刺さりきっておらず斜めに入っています。この状態で回すとボルトが舐めてしまいます。作業に慣れている人でも急いでいるとたまにやってしまう方がいます。ゆっくり確実に丁寧に作業を行うよう心がけましょう。

今回はTレンチで説明していますがラチェットなど先端にソケットがついているものも同様です。

メガネレンチ

こちらもTレンチと同様に工具をまっすぐ奥まで差し込んで使うようにします。悪い例のように斜めに入ったままの状態で力を加えると高確率でボルトを舐めてしまいます。

固く締まったボルトを緩める際のコツ

ぎゅっと力を入れても緩めることのできないほど固く締まったボルトを外したいときは工具を差し込んで手の平でコツ!コツ!と衝撃を与えるようにします。

この際、必ず左手はボルトと工具が外れないように抑えておくようにします。

衝撃でボルトを緩める方法を利用する際は回転方向が合っているか必ず確認すること

手の平で衝撃を与えてボルトを緩める方法は一時的に強い力を発生させることができ、便利な方法ですが使い方を誤ると部品を破損させるリスクのある諸刃の剣です。

特に回転方向を間違えて緩めたいのに締める方向に力を加えてしまうようなことがあると部品に大きなダメージを与える恐れがありますので十分に注意しましょう。

ドライバー(特にプラスドライバー)

続いてドライバーです。ドライバーに使い方なんてあるの?コツとかないんじゃないの?と思われるかもしれませんがドライバー、特にプラスドライバーは正しく使わないと非常に舐めやすい工具の一つです。

【重要】力の配分

ドライバーを使用する上で最も重要なのが力の配分で、押す力7割、回す力3割が目安とされています。

難しい力加減は置いておいて、重要なのは回すことよりも押す力に注力するということです。プラスのねじはドライバーを差し込んで回す力を加えると外に逃げる力が発生します。この外に逃げる力を抑えることなく、回してしまうとドライバーの先端がねじから外れて舐めてしまいます。

また、ドライバーの先端がボルトに対して垂直になるようにしましょう。上の画像は良い例です。

逆にこちらはボルトに対してドライバーが垂直になっていません。このまま力を加えると舐めてしまったり、ボルトの先端を痛めてしまいます。

トルクレンチ

トルクレンチにも様々な種類がありますが、こちらは「プリセット型」と呼ばれるタイプでラチェットにメモリのような見た目をしているのが特徴です。

使い方は持ち手の部分を左右に回すと上のメモリが上下します。メモリを見ながら必要な数値にセットして使用します。

使用後は必ずトルクのかかっていない状態に戻して保管する

プリセット型のトルクレンチは中に入ったバネの力を利用しています。トルクのかかった状態はバネにも力がかかっている状態ですので、この状態のまま保管するとバネ自体が正しく機能しなくなり性能に狂いが生じます。

保管する際は必ずトルクがかかっていない0の数値に戻してから保管するようにしましょう。