整備教室セビスクでは"趣味ではじめる二輪整備"をコンセプトにバイク整備が初めての方から上級者まで楽しめる講座を開催しています。

興味のある方は現在開催中の講座をご確認ください。

【完全解説】スーパーカブ110cc ja10のオイル交換のやり方

 

オイル交換の時期や頻度について

スーパーカブ110( JA10)のエンジンオイルの交換時期の目安は次のとおりです。

初回:1000kmまたは、1ヶ月
以後:3000km毎、もしくは1年毎

上記の内容はHONDA OWNER’S MANUAL スーパーカブ110より引用したものになります。ボアアップなどエンジンの負荷が大きくなるような改造を施されている場合は交換頻度を早めることをおすすめします。

 

必要な部品や工具

ホンダウルトラG1(純正エンジンオイル) Amazon
メガネレンチ17mm Amazon
(セットで購入するのがおすすめです。)
ドレンワッシャM12用 Amazon
ウエス Amazon
ポイパック(オイル処理箱)※
本記事では牛乳パックとボロ布で代用
Amazon
オイルジョッキ1ℓ用※
本記事では漏斗(じょうご)で代用
Amazon
パーツクリーナー Amazon
※あると便利なものです。必ず必要なわけではありません。

ちなみに本記事の筆者が使った道具がこちら。

ご自身の予算や環境に合わせて準備してください。

 

Step1センタースタンドを立てる

スーパーカブ110には、2つのスタンド(サイドスタンドとメインスタンド)があります。

エンジンオイル交換の時は、必ずメインスタンドを使いましょう。サイドスタンドを使ってもオイル交換はできますが、次の問題があると考えられます。

サイドスタンドでオイル交換したときの問題点

  • 車体が傾いた状態なので、古いオイルがきれいに抜けず、エンジン内に残ってしまうことがあります。
  • サイドスタンドは簡易的な構造のため、衝撃による転倒リスクがあります。

例えば、作業者が車体に軽くぶつかった衝撃でも、方向によっては車体が簡単に転倒してしまう可能性があります。

以上より、安全面からも、オイル交換には必ず安定感のあるメインスタンドを使いましょう。

 

Step2 暖機運転を行う

まず初めに、エンジンをかけて、3-5分アイドリングしましょう。

その理由は、エンジンオイルの温度を上げると、オイルの粘度が下がるため、エンジンから古いエンジンオイルをきれいに抜くことが出来るからです。

ただ、アイドリングをやりすぎると、エンジンが非常に熱くなり、ヤケドになる恐れがあります。エンジンが熱くなりすぎた時は、しばらく時間をおいてから始めましょう。

オイル交換を始めるときは、安全のため、必ずエンジンのスイッチをOFFにしてからはじめましょう。

 

Step3ドレンボルトの位置を確認する

エンジン底面には、2つのボルトがあります。

マフラー側(車体の右側)にある大きい方のボルトがエンジンオイル交換の時に開けるドレンボルトです。

 

Step4廃油容器をセットする

メインスタンドを立てると、地面からエンジンまでの高さは21cmなので、予めハサミ等で牛乳パックの先端を切り、漏斗を乗せた状態で18cmくらいの高さ調整しておきます。

ドレンボルトの真下に牛乳パックをセットします。その上に、漏斗を差し込みます。

 

【漏斗を間に挟む意味】

エンジンと回収容器の隙間が大きいと、屋外では、流れ落ちたオイルが風でとばされてしまいます。

牛乳パックの上に、漏斗をセットすると、漏斗が防風の役割もしてくれるので、周囲を汚さずにオイルを抜くことが出来ます。

外したドレンボルトを落としても、漏斗に引っかかるので、廃油の中からボルトを探し出す手間が省けます。

 

Step5ドレンボルトを外す

牛乳パックをセットしたら、いよいよドレンボルトを外します。とはいえ、ドレンボルトの位置は、ちょうどフットブレーキやマフラーが重なっているところで、レンチをどこから入れたらいいのか迷います。

メガネレンチを使用する場合は、リアブレーキとマフラーの間に通すと、レンチが回しやすくなりますので、やってみてください。

 

やけど注意

暖機運転で、エンジンはやや熱く、マフラーはめちゃめちゃ熱くなっているので、特に注意してください。

マフラーなどを取り外す際は軍手等の保護手袋を着用しましょう。逆にドレンボルトを取り外すなどオイルに触れる作業の際は軍手を装着していると軍手に熱いオイルがしみ込んでもすぐに軍手を外すことが出来ず火傷が重症化することにつながります。

ですので熱いオイルに触れる際は軍手を外すようにしましょう。

 

レンチを回す方向

外す時に回す方向はボルトに向かって反時計回りです。写真だと、レンチを車体後方(左側)に向けて回します。

ドレンボルトがある程度緩んだら、後は手で回して外していきます。

ドレンボルトを外した瞬間にオイルがエンジンからドボドボと流れ始めます。

 

Step6エンジンに残ったオイルを出す

エンジンが切れていることを再度確認してから、腕でゆっくりキックスターターペダルを回します(回らないときは、足でゆっくり踏んでください)。

これで、エンジンルームに残ったエンジンオイルが出てきます。

キックスターターペダルを勢いよく踏み降ろすと、エンジンオイルもいきよいよく吹き出すことがありますので、注意してください。

エンジンオイルが完全に抜けるまで、3分くらいかかります。

 

車体を傾けるのは危険です

車体を左右に傾けると、エンジン内に溜まっていたエンジンオイルが出やすくなりますが、出たとしても少量です。

車体のバランスを崩しながらの作業は、転倒のリスクがあるため、絶対にやめましょう。

 

Step7ドレンワッシャーの交換

ドレンボルトについているドレンワッシャー(M12)はオイル交換する度に新品に換えます。

と、言っている私ですが、ここ2年以上変えていませんでした。

今回外したドレンボルトをみると、ワッシャーがついていません。

あれ?つけ忘れていた?

と、ドレンボルトをもう一度よく観察すると、なんと、ワッシャーがドレンボルトと一体化(擬態)しているではありませんか。

ワッシャーらしき?部分をペンチでつまんでみると、ペラペラになったワッシャーがめくれて姿を現しました。

ペンチで固定しながらレンチを回すと、外れました。

これは、新品のドレンワッシャーとの比較写真です。ここまで行くと、同じ部品とは思えません。

そもそもドレンワッシャーは、アルミ製で、気密性を高めて、オイルの漏れを防ぐ役割があるそうです。

今回の私のように、何回も使いまわしていると、ワッシャーが次第に薄くなったり、亀裂が入ったりして、気密性が保てずにオイル漏れ等の原因になるようです。

私もこれを機に、ドレンワッシャーを毎回新品に交換することに決めました。

 

Step8再び、ドレンボルトを締める

エンジンオイルが完全に抜けたら、再びドレンボルトを締めます。

ドレンワッシャーがついていることを確認して、

トルクは12Nmなので、長さ20cmのレンチで締める場合、6kgの重さで回すイメージです。トルクレンチを持っている方は、ぜひ使ってください。あまりにもきつく締めると、ボルトネジが折れることがあるので、注意しましょう。

また、「後で締めるから、今は手だけで仮締めしておこう」としている方、絶対やめてください。

締め忘れると、走行中にいつの間にかドレンボルトが外れて、エンジンオイルダダ漏れして、最悪の場合、ピストンとシリンダーが焼き付いてしまいます。

実はこの焼き付いた話、私が実際にやってしまったことです。

その日は会社には遅刻するわ、バイクは押して帰らなければならないわ、修理代がかかるわと、とにかく後始末が大変でした。

必ず、この工程で忘れずにドレンボルトをしっかり締めてください。

 

 

Step9新しいエンジンオイルを入れる

ドレンボルトが締まったら、新しいエンジンオイルを給油口から入れます。

写真14【エンジンオイルの給油口】

このネジ(手で回せます)を外すと、オイルレベルゲージが付いています。古いオイルがついているので、ウエス等できれいに拭き取ります。

計量カップにエンジンオイルを800mlはかります。

私は、計量カップ代わりに、2Lのペットボトルを使っています。800mlの目盛り線をビニルテープで表示しています。

計量したエンジンオイルをエンジンに入れるときも、こぼれずに注げます。

使い終わったら、蓋を締められるのでオイル漏れもなく、清潔に何回も使えて便利です。

作り方は次の通りです。

  1. 空いた2Lのペットボトルの中身をよく洗い、水気を切ります。
  2. 計量カップで800ml(もしくは、計りで800g)の水をペットボトルに注ぎます。
  3. 水平な場所にペットボトルを立てて、水面の部分をマークして、そこにビニルテープ等を貼り付けます。
  4. ペットボトルの水を捨て、完全に乾燥させたら専用の計量カップの完成です。フタも忘れずに。

Step10適量が入っているか、オイルレベルゲージで確認

エンジンオイルが適量入っているかを確認するため、きれいに拭き上げたオイルレベルゲージを注ぎ口に差し込みます。

この時、ネジ蓋は締めないでください。締めない状態で差し込んだオイルレベルが正式な計り方です。

写真の網目状の模様の間にオイルの切れ目があれば、基準値を満たしていることになります。

オイル交換後のオイルは上限ギリギリでしたので、基準値内としました。

では、エンジンオイルを入れる量が多すぎたり、少なすぎたりすると、どのようなことが起きるのでしょうか。

 

エンジンオイルが多すぎると起きる症状(オイルレベルゲージ上限より上)

入れたエンジンオイルが多すぎると、次のような症状が現れると言われています。

  • エンジンからのオイル漏れ
  • パワー減少
  • 燃費の悪化
  • クラッチ滑り
  • 排気ガスが白煙に
  • エアクリーナーを汚す

 

エンジンオイルが少なすぎると起きる症状(オイルレベルゲージ下限未満)

入れたエンジンオイルが少なすぎると、エンジン内部にエンジンオイルが行き渡らず、次のような症状が現れると言われています。

  • パワー減少
  • 燃費の悪化
  • エンジン内部の汚れが溜まりやすくなる
  • オーバーヒートしやすくなる
  • 最悪の場合、ピストンとシリンダーが摩擦熱で溶けて焼き付く

以上より、エンジンオイルの量は、基準値内の「適量」になるように入れましょう。

 

Step11エンジンオイルの処分方法

渡しの場合、牛乳パックに入った廃油は、食用油を固める凝固剤を入れています。

オイルが温かいうちに入れると凝固剤が溶けやすくなります。

オイルの種類やオイル添加剤等によって、固まらない場合もあるようです。

冷え固まったら、念のためフリーザーパック等に入れてから、燃えるゴミとして出しています。

オイルの処分方法については、お住まいの地域によって違います。各自治体の処分方法に従ってください。