整備教室セビスクでは"趣味ではじめる二輪整備"をコンセプトにバイク整備が初めての方から上級者まで楽しめる講座を開催しています。

興味のある方は現在開催中の講座をご確認ください。

スーパーカブ・リトルカブのブレーキシュー・タイヤ交換の方法

参考動画

一度講座を受けていただけた方であれば、それぞれの動画を見て、どのような作業がどのような手順で行われているのかが理解できるようになっているかと思います。

※動画の内容は講座の内容とは関係ありませんが参考になりそうなものを選んでみました。
※動画の内容は確認しておりますがすべて正しいとは限りません。様々な情報から取捨選択し、ご自身の環境にあったやりやすい方法で行いましょう。

用意するもの

ダンロップタイヤ(DUNLOP)D107
2.25-17 33L 4PR WT 2.50-17 38L 4PR WT
Amazon(フロント)(リア
IRC タイヤチューブ 2.25-17 2.50-17 Amazon
リムバンド Amazon
デイトナ プロブレーキシュー Amazon(品番多数あり)
メガネレンチ12、14、17、19mm Amazon
(セットで購入するのがおすすめです。)
コッターピン(割ピン) Amazon
タイヤレバー Amazon
ビードワックス Amazon
万能グリス Amazon
パーツクリーナー Amazon
※あると便利なものです。必ず必要なわけではありません。

ブレーキ周りの分解

まずはマフラーの裏あたりに隠れているブレーキアジャストナット周りを分解しておきます。

細かい部品が多いのでパーツトレーなどに入れてなくさないようにしましょう。

続いてトルクリンク周りを分解します。

トルクリンクのナット脱落防止用のコッターピン(割ピン)をまっすぐにして引き抜きます。ちなみに割ピンはバイク用品店はもちろんのこと、ホームセンターでも手に入りますのでなるべく再利用せずに新品に交換しましょう。(サイズは1.6×20mm)

取り付けの際は地面に対して垂直ではなく、垂直から斜め45度ほど倒してつけるようにしてください。時計で言うと2時に位置くらいがベストです。

ボルト、ハブ、リンク、ゴムワッシャー、ワッシャー、ナットの順番です。

ちなみにハブの裏側は上の画像のようにボルトがぴったりとハマるようになっています。組み付けの際は注意しましょう。

アクスルシャフトを外す

まずは割ピンの足をまっすぐにして引き抜きます。

スーパーカブやリトルカブは年式やモデルによってはアクスルシャフトとマフラーが干渉してしまうケースがあります。横から見て当たりそうな場合はマフラーを外すなりボルトを緩めてずらしておくようにしましょう。

19mmのメガネレンチでアクスルシャフトを緩めます。

アクスルシャフトは共回りしますので逆側にも14mmのメガネレンチをかけて共回りを防ぎます。

固く締まっている部分ですので大変ですがカブのリアタイヤを抱きかかえるような体制を取ると力を入れやすいです。

ここまで来たらようやくアクスルシャフトを引き抜きます。硬くてなかなか引き抜けない場合はプライヤーなどを使うと引き抜きやすくなります。

タイヤとスイングアームの間にあるカラーも転がって無くす前に取っておきましょう。

カラーを外したら後輪を外すことが出来ます。少し手前に引きつつ前後に揺さぶると簡単に外すことが出来ます。

ブレーキシューの交換時期の目安

スーパーカブが採用するドラムブレーキは、シューの摩耗が進むにつれブレーキの遊びが多くなる仕組みになっています。さらに摩耗が進むとブレーキレバーを限界まで握ってもブレーキが効かなくなる事態となります。

ブレーキシューには画像のような▼逆三角形マークと矢印のマークがあり、ブレーキを握ったときに2つのマークの先が重なる位置にある場合はシューの寿命ですので交換が必要です。

ちなみに上の画像は交換して間もないカブのブレーキを握った状態です。ご覧のように矢印と▼はまだまだ離れた位置にあります。

ブレーキシューの交換方法

この青いのがブレーキシューです。これは純正品ではなくデイトナのプロブレーキシューが入っています。純正品よりは少し消耗が早いですが効きは良い気がします。

取り外し

カブにはリーディングトレーリング式というドラムブレーキが採用されています。そして、ブレーキシューは表裏どちらでも装着可能ですがリーディング側とトレーディング側で摩耗の仕方が変わりますので清掃して再度組みつける際などは同じ向きで取り付けた方がブレーキのタッチが変わらないです。

ブレーキシューの内側に手を入れて思いっきり外側に引っ張ります。力技ですがコツもあって両方均一に力を入れるのではなく、片側ずつ外すイメージでどちらか片方に力を集中させるようにすると女性でも比較的簡単に外すことが出来ます。

無事取り外しができました。

ドラムブレーキはディスクブレーキよりも内部にゴミなどが溜まりやすい構造になっていますので分解ついでにパーツクリーナーやウエスで清掃しておくと良いでしょう。

取り付け

ブレーキシューを組む前にカムの部分に万能グリスを塗布しておきます。

ライナー部分に付着すると制動力が低下する恐れがありますのでたっぷり塗らず薄く塗ってください。

万能グリスが塗れたらシューを取り付けます。取り付けの際は片側ずつ取り付けるとつけやすいです。

ブレーキシューを組み終わったらブレーキアームを動かしてスムーズに動作するか確認しておきましょう。

タイヤ交換

タイヤを置いた時に地面とホイールが当たってしまうとホイールに傷がついてしまいますので古タイヤや木枠などを下に敷いておきます。

虫抜きを使ってタイヤのバルブからバルブコアを取り外します。

バルブに虫抜きを差し込んでボルトを緩める方向に回します。

バルブコアが抜けました。

12mmのナットも緩めておきます。

ビードを落とす

続いてタイヤの縁を押してビードを落としていきます。

上の画像のようにタイヤとホイールはビードという膨らみ部分かみ合うように嵌っていますのでタイヤを外しやすくするためにビード部をぐるっと一周押し込んで落としていきます。

画像の指差ししている部分がかみ合う部分です。

ちなみにカブのタイヤは一般的なバイクよりも細いためビードは非常に落としやすいです。一般的なバイクの場合はもう少し硬いです。さらに、チューブの入っていないチューブレスタイヤの場合はビードだけで空気を抑えていますのでビードブレーカーという専用工具を使わないと落とせないほどカチカチです。

タイヤレバーを使ってホイールからタイヤを外す

さて、ここからはタイヤレバーを使っての作業となります。バルブのある位置を手前にしてバルブの10cmほど横からレバーを入れていきます。

 

左手側のレバーは抑えたままで右手のレバーで少しづつタイヤをめくっていきます。

この時のコツは欲張らないことです。上手くいかない方は一気に行こうとせず手前から少しずつ進めるようにしましょう。

半分超えたあたりから急に外しやすくなります。こうなれば後は手で引っ張れば簡単に外すことが出来ます。

ぐるっと一周外すことが出来ました。

そしたら緩めておいた12mmナットを外してタイヤからチューブを外します。

チューブが外れたらホイールからタイヤを外します。グイグイと押すようにすると簡単に外すことが出来ます。ただ、これもタイヤの径が細いカブならではの技です。

タイヤの取り付け

まずはホイールにリムバンドを取り付けます。ゴムですので引っ張ってはめるだけです。

その時、ホイールにあるバルブの穴とリムバンドの穴を合わせておくようにしましょう。

新しいチューブに2つ付属している12mmナットの1つを取り外し、虫回しでバルブコアを取り付けておきます。

バルブコアを取り付けたら軽く空気を入れておきます。パンパンにしたら入らなくなってしまうのでほどほどで大丈夫です。イメージとしては良く庭にある空気で膨らますプールくらいの硬さといえばわかるでしょうか?

表面が軽く張っている程度で問題ありません。

タイヤの中にチューブをセットします。

タイヤに上の写真のような軽点を表す黄色いマークがある場合はマークがある部分にバルブが来るようにしてください。軽点はその名の通り、タイヤで一番軽い部分を表しています。タイヤの一番軽い部分とチューブの一番重い部分であるバルブがある個所を合わせることにより全体のバランスを保つことが出来ます。

タイヤにホイールをはめる前にタイヤ側にビードクリームをたっぷりと塗っておきましょう。両方とも外側に塗るのではなく片側はタイヤの外側に塗り、逆側はタイヤの内側に塗っておきます。(タイヤを組み付ける手順を想像するとわかりやすいです。)

タイヤにホイールを組み付ける

ホイールにあるバルブ穴にチューブのバルブを入れます。

ホイールにバルブを通したら外れないように12mmナットで軽く留めておきましょう。

ビードクリームをたっぷり塗っていれば片側を入れるのは体重をかけて押し込むだけで簡単に入れることが出来ます。

片側を入れたらひっくり返してタイヤレバーを使って少しずつ入れていきます。外すときと同様にバルブの10cmほど横から始めます。

無事にタイヤが入りました。タイヤとホイールの接点にチューブや異物が挟まっていないか確認します。

問題がなければ空気入れで空気を入れます。電動空気入れのない方は米国式バルブに対応したものであれば自転車用の空気入れでも空気を入れることが出来ます。

年式やモデルによって多少の違いはありますがスーパーカブの場合はフロントタイヤが175kPa/c㎡、リアタイヤが225kPa/c㎡を目安に空気を入れます。

空気圧を調整したら取り外した逆の手順で組み付けて作業完了となります。